クライミングで指の痛みを感じたら?腱鞘炎・プーリー損傷の特徴とテーピングの考え方
- ebertallee34b
- 20 時間前
- 読了時間: 8分
強いホールドを引いた瞬間、指の付け根や第二関節あたりに「ピキッ」とした痛みや違和感を感じたことはありませんか。多くのクライマーが一度は経験するこの症状ですが、その正体が「腱鞘炎」なのか「プーリー損傷」なのかによって、必要な対処はまったく異なります。放置してクライミングを続けてしまうと、回復までの期間が数週間から数ヶ月単位に伸びてしまうことも少なくありません。
この記事では、指の痛みの代表的な原因である腱鞘炎とプーリー損傷の特徴の違い、テーピングに対する考え方、そして病院を受診すべき目安について、クライマー目線で整理して解説します。

クライミングの指の痛みの主な原因
クライミングは他のスポーツに比べて、指先や指の腱・靭帯に集中的な負荷がかかる競技です。特にカチ持ちやポケットホールドなど、指を深く曲げた状態で強い力を入れる動作は、指の腱や、それを骨に沿わせる役割を持つ「プーリー」と呼ばれる靭帯性の組織に大きなストレスを与えます。
指の痛みの原因として頻度が高いのは、主に次の3つです。
・ 腱鞘炎(腱とそれを覆う腱鞘の炎症)
・プーリー損傷(腱を骨に固定する靭帯の損傷)
・関節周囲の炎症や軽度の捻挫
このうち、クライマー特有の悩みとしてよく話題になるのが「腱鞘炎」と「プーリー損傷」です。症状が似ている部分もあるため、自己判断で混同してしまうケースが多く見られます。
腱鞘炎とプーリー損傷は何が違うのか
腱鞘炎は、指を動かす腱と、その腱を包んでいる腱鞘という組織がこすれ合うことで炎症が起きる状態です。使いすぎ(オーバーユース)によって徐々に進行することが多く、痛みも比較的緩やかに強くなっていく傾向があります。
一方のプーリー損傷は、指の腹側にあるA2・A4などの靭帯性組織が、強い負荷によって部分的、あるいは完全に損傷する状態です。カチ持ちで強く引いた瞬間に「ピキッ」「ブチッ」という音や感覚とともに急激な痛みが出ることが多く、突発的に発生する点が腱鞘炎との大きな違いです。

もちろん、これはあくまで一般的な傾向であり、正確な診断には触診や画像検査が必要です。自己判断だけで結論づけず、症状が続く場合は整形外科でのチェックを検討することが大切です。

クライミングで指を痛めやすい動作
指のトラブルは、特定の動作やホールドの持ち方に集中して起こりやすいという特徴があります。特に注意したいのが以下のような場面です。
・カチホールドを深く握り込んで強く引く動作
・ポケットホールドで一本〜二本指に負荷が集中する動作
・ウォームアップ不足のまま強傷度の課題に取り組む
・疲労が蓄積した状態でのトライの繰り返し
・湿度や気温の変化で指の状態が普段と違う日のセッション
これらの動作に共通するのは、指の腱やプーリーへの負荷が一点に集中しやすいという点です。特にシーズン初めやジムのグレードを上げ始めた時期は、身体が慣れていないぶんリスクが高まりやすいため注意が必要です。
こんな症状が出たら注意したいサイン
以下のようなサインが出ている場合は、無理を続けずに一度クライミングを休むことを検討しましょう。
・ホールドを握った瞬間にピリッとした鋭い痛みが走る
・指の付け根あたりが赤く腫れている、または熱を持っている
・握力を入れると明らかに力が入りにくい
・安静にしていても指がズキズキと痛む
・同じ場所の違和感が1週間以上続いている
特に「握った瞬間の鋭い痛み」や「腫れ」を伴う場合は、プーリー損傷の可能性も考えられます。痛みを我慢して登り続けると損傷が悪化し、結果的に長期間クライミングができなくなるリスクが高まります。

クライミングにおけるテーピングの考え方
指のトラブル対策として広く知られているのがテーピングです。ただし、テーピングは「治療」ではなく、あくまで補助的なサポートであるという理解が重要です。
テーピングに期待できる役割
・ 指の可動域をわずかに制限し、負荷を分散させる
・皮膚や関節への衝撃を和らげる
・「守られている」という心理的な安心感を得やすくする
テーピングだけに頼らないための注意点
・テーピングをしていても強い負荷をかければ悪化するリスクはある
・痛みがある状態での無理なトライは避ける
・巻き方に迷う場合は、経験者や専門家に相談する
・症状が重い場合はテーピングより先に休養・受診を優先する
テーピングの巻き方にはH字巻きやX字巻きなど複数の方法があり、目的や部位によって使い分けられています。ただし具体的な巻き方は指の状態や痛みの種類によって適切な方法が異なるため、自己流で強く締めすぎたりせず、症状が続く場合は専門家のアドバイスを受けながら取り入れることをおすすめします。

回復期に意識したいこと
指のトラブルからの回復期は、焦らず段階的に負荷を戻していくことが何より重要です。
1. 痛みが強い時期はクライミングを完全に休む
2. 日常生活で痛みが出なくなってきたら、軽い可動域運動から再開
3. ホールドを持つ強度は低グレードから少しずつ戻す
4. 痛みが再発しないか、都度セルフチェックしながら進める
5. 違和感が残る場合は無理に強度を上げない
「治ったつもり」で早くグレードを戻してしまうと、再受傷につながりやすいのも指のケガの特徴です。焦る気持ちはあっても、段階を踏むことが結果的に早い復帰につながります。

日頃からできる指のコンディション管理
大きなケガを防ぐためには、日頃から指のコンディションを整えておくことも大切です。
・セッション前後にしっかりウォームアップ・クールダウンを行う
・疲労が抜けていない状態での連日トライを避ける
・皮膚が乾燥・硬化していると微細なダメージが蓄積しやすいため保湿ケアを習慣にする
・違和感がある日は無理せず強度を調整する
指の皮膚コンディションを整えておくことは、直接的なケガの予防にはなりませんが、日々の小さなダメージを蓄積させないという意味で、長くクライミングを楽しむための土台になります。

まとめ
クライミングにおける指の痛みには、徐々に進行する「腱鞘炎」と、瞬間的に発生しやすい「プーリー損傷」があり、それぞれ発症の仕方や特徴が異なります。テーピングは負荷を分散させる補助として役立ちますが、治療そのものではないため、痛みが強い場合や腫れを伴う場合は無理をせず、休養や専門家への相談を優先することが大切です。日頃のウォームアップや保湿ケアなど、小さな習慣の積み重ねが、指を長く大切に使い続けるための基本になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 指が痛くてもテーピングをすれば登り続けても大丈夫ですか?
A. テーピングはあくまで負荷を分散させる補助的な役割であり、痛みの原因そのものを治すものではありません。痛みが強い場合や腫れを伴う場合は、テーピングをしていても無理をせず、休養や受診を優先することをおすすめします。
Q. 腱鞘炎とプーリー損傷はどちらが治りにくいですか?
A. 一般的にプーリー損傷は靭帯性の組織の損傷であるため、腱鞘炎に比べて回復に時間がかかりやすいといわれています。ただし程度には個人差が大きいため、気になる場合は整形外科などで状態を確認することが安心です。
Q. 指の音(ポキッという音)がしたらすぐ病院に行くべきですか?
A. ホールドを引いた瞬間に断裂音のような音や強い痛み、腫れを伴う場合は、プーリー損傷などの可能性も考えられます。自己判断せず、できるだけ早めに整形外科を受診することをおすすめします。
Q. どのくらい休めばクライミングを再開していいですか?
A. 症状の程度によって個人差が大きいため一概にはいえませんが、痛みが完全になくなり、日常生活で違和感がないことを確認してから、低グレードで様子を見つつ段階的に再開するのが基本の考え方です。
Q. 予防のためにできることはありますか?
A. ウォームアップとクールダウンを丁寧に行うこと、疲労が抜けない状態での連日トライを避けること、指の皮膚コンディションを保湿ケアで整えておくことなどが、日頃からできる予防習慣として挙げられます。
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参考情報
・日本整形外科学会「腱鞘炎」に関する一般向け情報
・日本臨床スポーツ医学会によるスポーツ外傷・障害に関する資料
・クライミング医学に関する国内外の研究(指靭帯・プーリー損傷に関するもの)
※上記は記事内容に関連する一般的な参考分野として記載しており、特定の記事や文献からの引用ではありません。



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